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『去年マリエンバートで』
『去年マリエンバートで』
1961年/フランス・イタリア合作映画/94分/白黒
監督:アラン・レネ
脚本・台詞:アラン・ロブ=グリエ
衣装:ベルナール・エヴァン
主演女優衣装(一部):シャネル
robes de madmoiselle Seyrig ... CHANEL
ファッションに関係する者として『去年マリエンバートで』を語るときに、まず言っておくべきなのは、主演女優:デルフィーヌ・セイリグ Delphine Seyrig の着ている服に『シャネル』があるということでしょう。
全体のコスチュームはベルナール・エヴァンですが、ローブ・ド・マドモワゼル・セイリグとして『シャネル』の名がクレジットされています。
半世紀ほど前、1961年に制作されたモノクロ映画。そして、この映画の作りが独特ということもあって、服ごとの詳細な様子はわかりにくい面もあります。
けれども、登場する人物が実質3人だけというなかで、見るべき点は多くあるようにおもいます。
言い過ぎかもしれませんが、ちょっとしたポーズにシャネルの意見が入っているように受け取ることもできそうなくらい。
実際にはそのようではなくても、シャネルを起用したこと、使用しているということ自体が、女優の動きを含め、映画制作のメンバー各人になんらかの影響を与えているような気がしてくる映画です。
(実際には、シャネルの影響はそれほどでないようですが。)
・1961年ヴェネツィア映画祭 金獅子賞
・1962年フランス映画批評家連盟賞 作品賞
映画としてスクリーンに投影されている場面の、どこからどこまでが現実なのか、はたまた、想像なのか。そして、それは誰のものなのか。さらには、いつのものなのか。
見るものに、簡単には総合を許さない手法で描かれた、錯綜するイマジネーションの世界。
登場するのは、男2人と女1人。
恋愛や不倫の外装をまといつつ、人間のコミュニケーションや存在と不在など、哲学的主題を感じさせる映画です。
冒頭、呪術的なフランス語のリフレインと映像を見ていると、不眠の夜長にも似合いそう。
『去年マリエンバートで』HDニューマスター版 [DVD]
※2009年6月27日発売開始
いつでも、どこでも、誰にでも、という万人向けの映画ではないせいか、なかなか買いやすい価格のDVD化がなされてきませんでした。
やっと発売されたという感じでしょうか。
そのうちにと考えていた方は、この機会に手に入れておくのが良いかも知れません。
なお、本DVDに封入されている解説リーフレット内:製作過程についての部分を読む限り※では、映画内で有名な羽根付きドレス2着はベルナール・エヴァンのデザインだそう。
また、主演女優:セイリグは、エキストラとして参加していたディオールのモデルをお手本にした様子。
※シャネルの関与は、ほとんどないもののように読めます。
『去年マリエンバートで』 [VHS]
こちらは、1990年頃に発売されていたVHSビデオ(販売元:ポニーキャニオン販売 製造・発売元:日本ヘラルド映画株式会社)。
一時期の1万円以上する映画ソフトではなく、3800円(税抜)という買いやすいものです。
解説は短いものですが、身体論で著名だった「市川 浩」氏。
参考
1998年頃には同じVHSとして、東北新社から出ていたようです。
参考
『モレルの発明』 著:アドルフォ・ビオイ=カサーレス
・1941年 第一回ブエノスアイレス市文学賞
ホルヘ・ルイス・ボルヘスと親交のある著者の代表作ともいえる本書(1940年発表)。
その内容の本質的な部分もさることながら、マリエンバートという名前が出てくること。脚本を書いたアラン・ロブ=グリエ自身が書評(仏「クリティック」誌1953年2月号)を書いていたことなどから、映画『去年マリエンバートで』と何らかの関係性があるといわれている書物です。
幻想文学的な見方からは、異能の小説家:レーモン・ルーセルとの共通点も感じられます。
参考
『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』
アドルフォ・ビオイ=カサーレスの『モレルの発明』とレーモン・ルーセルの『ロクス・ソルス』を原案として制作された映画です。
この2009年3月27日に、DVDとして発売されました。
前項で触れた『モレルの発明』新装版の表紙は、本映画からのイメージカットだそうです。
『去年マリエンバートで』(2009.06.27)
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