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ベネチアンビーズ
イタリア北東部ヴェネト州の都市ヴェネツィアVenezia(=ヴェニスVenice)で作られる、ベネチアンガラス製のビーズを総称して「ベネチアンビーズ」と呼ばれています。
ベネチアンガラスの歴史においては、ヴェネツィア本島近くのムラノ島(ムラーノ島)がベネチアンガラス生産の本拠地として有名です。ムラノガラスなどと表現されている場合もありますので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
それに伴ってか、ムラノビーズという呼び名も目にすることがあります。ムラノ島で作られているビーズであれば、それはもちろん間違いではないのですが、ヴェネツィア本島でビーズを作っている職人さんもいます。その点では、細かく表記しようとすることが間違いにならないように望まれます。
現代のベネチアンビーズは各国に流通するまでになっていますが、元来はヨーロッパの王族貴族たちへの献上品や、彼らの装飾品として珍重されたり、アメリカやアフリカとの交易品として、もてはやされていました。
狭義には、今も昔ながらの「職人の手作業」で作られる貴重で繊細かつ優雅な魅力を持つガラス製のビーズを指します。 職人によってガラスの造形具合やセンスなどが異なりますので、ビーズには様々な個性が発揮されます。
広義には、比較的小さな形などの量産ビーズも含まれ、それらの中には工業製品的に工場で大量生産されているものもあるでしょう。
さらには、ヴェネツィアから流出した技術を用いて、他のガラス生産地でベネチアンビーズに特有のテクニックを駆使したビーズが作られている場合もあります。
なお、ヴェネツィアの土産物店で買ったからといって、必ずしも狭義の意味で正真正銘のベネチアンビーズではないかも知れません。残念ながら、公的にベネチアンビーズにお墨付きを与える機関は、私の知る限りでは現在のところないようです。ただし、作家や工房の集まりによる自主的な任意団体はあります。
しかし、あったからといって、日本での「関さば&関あじ」や「松坂牛」などのように問題※が生じてしまっても、どうかとおもいます。これらに限らず、原産地呼称は難しいものですね。(^^ゞ
※1:関さば&関あじに関しての一例~特定の水産組合によって商標登録がなされているため、同じ海で漁獲された魚であっても、漁師の所属組合が違うとその名を名乗れないそうです。
※2:松坂牛に関しての一例~商標登録の際して飼育地域が限定されているため、血統として正当な松坂牛であっても、指定飼育地域外で飼育されるとその名を名乗れないそうです。
【特長】
素材としてはガラスであり、ベネチアンガラスに準じたものとなります。ここでは狭義のビーズを、他の一般的なものと比較しての特長をあげてみましょう。
1:ガラス製である。~樹脂などは基本的には用いません。
2:一つ一つ手作り。~元来は機械の類を使わない手仕事です。
3:表面をカットしていない。~上記とも関連します。
4:ビーズ穴が概して細い。~他産地の類似ビーズとの対比ですが、現在は様々です。
【種類】
ひとくちに種類と言っても、全体をわかりやすくするためには、分類が必要です。しかし、分類のための切り口は、いろいろと考えられます。どう整理して提示するのが客観的でわかりやすいか、が難しい部分だと感じていますので、この場は以下に例示してみるにとどめます。
・例1~形状による分類
球類: 丸玉、楕円玉、紡錘形、ティアドロップ、ハートなど
方形類: 立方体(キューブ)、直方体など
柱類: 円筒、円盤、管(チューブ)、三角柱など
板類: 四角板、三角形板、円板、楕円板など
その他: 不定形、具象形など
※同形でも芯(ビーズ穴)の方向や位置により、その印象が変わります。
・例2~施された技法による分類
基本類: ガラス素材の形だけを整えたもの。
例/単色クリア丸玉、不透明角柱など
封入類: ベースの上に別のガラスをかぶせたもの。
例/あいだに金箔、銀箔などを入れた玉など
描画類: 極小のガラス棒で花や線などを描いたもの。
例/バラ、忘れな草、螺旋、ドット、羽根など
※本ページ下部の写真はこの技法。
融着類: 別に作ったパーツを融着するもの。
例/ムリーネ玉(モザイクガラス玉)など
その他: 上記の技法を組み合わせたもの。
※同技法でもサイズや各分量の変化により、その印象が変わります。
・例3~製法による分類
巻付: 金属(銅)芯に溶かしたガラスを巻き付けて作るもの。
※本ページ下部の写真はこの製法。
型: 相似形の型枠ではさみ、形を作るもの。(一例としてハート型など。)
宙吹き: 金属管の先に熔かしたガラスを付け、空気を吹き入れて作るもの。
カット: 筒状に引き伸ばしたガラスを切り分けて作るもの。
その他: 上記の技法を組み合わせたもの。
※同製法でもサイズや素材により、その印象が変わります。
・その他の分類
a:メーカー
メーカーごとに色や傾向に特色がありますので、それをブランド的に分類することもできるでしょう。ただし、一般的な手法を用いたビーズは似てしまうので、その点では分類の意味は薄れます。
b:名称
現地で慣習として呼ばれている素材や技法の、名前での分類もあり得るでしょう。しかし、メーカーが独自≒自発的に名付けている場合は汎用性に欠けますので、分類として適性か判断に迷うところです。
【ビーズの作り方】
<巻き付け製法の場合>
1)針金状の細い金属(銅)芯に、棒状になっているガラス素材を溶かしながら巻き付けます。
2)柔らかいうちに、脇に設置した金属板やさまざまな種類の鏝(こて)を使って、丸や楕円、キューブなどに成型します。
※成型の途中で、金属箔を封入したり、はさみで切れ目を入れたり、別のガラスで模様を描いたりなどして各種の装飾を施します。
3)ゆっくりと冷却した後に、その芯を抜いて完成させます(芯を熔かしてしまう製法もあるようです)。
バラの文様を描画しているところ
(あるビーズ作家のアトリエにて)
【結語】
歴史ある伝統工芸だからでしょうか。知れば知るほど、更なる奥行きが出てきて、それにしたがって疑問も増えていきます。
最近はベネチアンビーズを、イタリア語からそのまま借用したカタカナことばを多く使って説明したものを見かけます。すべてとは言いませんが、認識違いも多いように感じます(これは日本語のページに限りません)。
知識があるに越したことはありませんが、ぜひあなたの感性や感覚で判断してみてください。そうすれば、自分にとって本当に良いもの、好きなものが見えてくるとおもいます。
私は以前、観光などでは絶対に入れない、作家たちのアトリエにうかがって、目の前でビーズやガラス製作を見られるという、貴重な経験をさせていただくことができました。ガラスについても自分なりに勉強中です。よろしければ素材について、他の項目もご覧ください。ご感想をお待ちしています(^_^)/~
<付記>
器や盃、ビーズに限らず、装飾性の高い製品を作れるマエストロは、物をとらまえる力が秀でているせいか、デッサン力にもすぐれているようです。私がうかがったマエストロのデザイン画は、それがちょっとしたディティールのスケッチですら、とても美しいものでした。
製作中の品々が並んだ棚
(あるガラス作家のアトリエにて)
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「ヴェネツィアの近くに住んでいるのですが、灯台下暗しで知らなかったことがいっぱいで大変勉強になりました。」(2006/8/1)
ベネチアンビーズ(2000.04.03)
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